2019.6.25;873号
第26回;むしろ小規模事業に於いてこそ革新的経営となる。
ジュエリー製作に於いて3Dプリンタは他の業界よりも比較的早くから利用されてきたことはこれまでにご紹介しました。
ハンドメイドとは手段が違うだけで仕上がりには何ら変わりはなくジュエリー全体から見ると既に7~8割は占めるといわれています。
少し前になりますが、ティファニー(NY)の事例(日経MJ3/29号)で工房に並べられた3Dプリンタは商品開発のスピードを実現し、
伝統的な職人技と最先端の技術を融合させることで新たなビジネスを創造していることが記事になっていました。
世界を代表するジュエリーブランドの経営戦略はデジタル技術抜きでは考えられないといえそうです。
大手企業の特権と思われた3D-CADや3Dプリンタなどデジタル機器を取りそろえた自社製造部門は、
今では3Dプリンタの精度、デスクトップサイズ、そして導入価格からするとむしろ小規模事業に於いてこそ革新的経営が打ち出せます。
お客様の要望をその場で反映し出来上がりの不安を取り除くデジタル環境でのジュエリー製作は、発注から完成までのリードタイムの短縮、決定率の高さも特徴です。
また、自社ブランドの企画・開発・製造・販売・在庫管理などの工程をワンストップでムダ・ロスを省き、目利きが出来るジュエラーにとっては利益率を改善できる製造小売業ともなりえます。
モノがあふれ、どこへ行っても商品は検索され価格の安さで計られる。”○○風”などのコピー物が売れ在庫さえ置けばよかった時代はもうありえません。
今起こっていることを敏感に感じ取り、新しい事に柔軟でなければいずれ身動きできなくなります。
18世紀後半、英国から始まった産業革命は蒸気機関を動力として作業能率を大幅に上昇させました。
第二次産業革命の中心は19世紀、独・米国を中心に軽から重への工業転換「大量生産」の時代へ向かい、
20世紀後半第三次産業革命はコンピューターが活躍し機械の自動化で高度成長を迎え、同時にIT企業が生まれる土壌も成就されてきました。
そして、今我々が身を置いているのは第四次産業革命の真っただ中。
世界は急速にデジタル化へと進みインターネットを介した産業構造に変革しています。
プログラミング教育を受けたデジタルネイティブがやがて社会人となり、今とは次元の違う世界に発展していくのは目に見えています。
そのことを前提に筋の良い長期的なシナリオを早く描くことが出来れば
未来は素晴らしく、楽天的で、可能性を秘めたジュエリービジネスが展開できそうです。
by デジタルジュエリー®
“業界新聞”
(※業界新聞社;香川県坂出市駒止町2丁目5番43号/TEL・Fax;0877-46-5384/編集発行人;長谷川 修一)